■ビアンキの事故、さらには複数チームの経営不振も

 そのほかの事件としては、初開催となったロシアGPで、クリミア併合を巡って開幕前にボイコット騒ぎが起こり、一方でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は大会を政治の道具に使った。

 また、豪雨のなか行われた日本GP決勝では、ビアンキがリカバリー車両と衝突する事故が起きた。ビアンキは四日市の病院に緊急搬送され、そのまま数週間にわたって入院した後、母国フランスのニース(Nice)の病院へ移ったが、現在も重篤な状態が続いており、治療が続けられている。

 マルシャ(Marussia F1 Team)のマシンが完走を果たしたのは、その日本GPが最後となった。資金繰りに行き詰まったマルシャは、4戦を残して管財人の管理下に置かれ、12月にはマックス・チルトン(Max Chilton)のマシンのノーズ部分をネットオークションにかけ、1万5000万ポンド(約280万円)で手放している。

 ケータハム(Caterham F1 Team)も管財人の管理下に置かれている。クラウドファンディングというファンの協力を得て、最終戦アブダビGPには復帰し、2014年のマシンで来シーズンも参戦する特別許可は得ているものの、依然として買い主は見つかっておらず、チームの先行きが不透明な状態は続いている。

 2チームの離脱を受けて、米国GP(United States Grand Prix 2014)は18グリッドで開催され、ほかにも3チームが苦しい経営状態にあると言われた。

 こうした状況のなか、現在のF1界には84歳のバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)会長の後を継げる人材が見当たらず、どのチームのオーナーも経営面で苦しんでいるとの報道が出ている。

 チーム解体という意味では、未勝利に終わったフェラーリ(Ferrari)でも、総合優勝2回のフェルナンド・アロンソ (Fernando Alonso)が、破格の年俸を提示したマクラーレン・ホンダ(McLaren-Honda)に移籍するなど、前例のない大変革が起きた。

 フェラーリは多くのスタッフがチームを去り、先日にはエンジニアリングディレクターのパット・フライ(Pat Fry)氏と、チーフデザイナーであったニコラス・トンバジス(Nikolas Tombazis)氏の離脱も決まった。(c)AFP/Tim Collings