開幕戦のオーストラリアGPでは、チームメートのロズベルグが優勝したが、最後に笑ったのはハミルトンだった。その間、2人は各GPのタイトルをほぼ独占し、さらに両者の生々しくとげとげしい、そして張りつめた関係が話題をさらった。

 その一方でレッドブル、そして4年連続総合王者のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)の威信は地に落ちた。ルノー(Renault)のエンジンを採用したレッドブルは、マシンの馬力を失ったばかりでなく、シーズン終了後にはベッテルをフェラーリ(Ferrari)へ手放す羽目にも陥り、メロドラマのような凋落ぶりを見せた。

 さらに、英ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)にあるチーム本部が強盗被害に遭い、60個以上のトロフィーが盗まれたチームにあって、明るい話題はドライバーズタイトル争いで3位に入ったダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)の満面の笑顔くらいだろう。もっとも、盗まれたトロフィーの一部は湖の底から見つかっている。

 リカルドは今シーズン最も飛躍したドライバーで、カナダGP、ハンガリーGP、ベルギーGPを制し今季3勝を挙げている。ハミルトンとロズベルグで計16勝、ワンツーフィニッシュ11回と、メルセデス勢が一貫して強かったシーズンにおいて、リカルドの躍進は、シーズンの盛り上がりに不可欠なスパイスと変化をもたらした。